|本人の考察は、現状に即している。
想像して欲しい。このグラフが外側から順に、過去3年間のストレスチェックを表している場合、貴方なら①背景をどう考察するだろうか。②該当のクライアントはどのようなレポートを受け取るのだろうか。
正解は、①の背景は、すこぶる能力と人格が低い上司のもとへ異動になった、である。その上司の部下になったメンバーが同時期に、”上司からのサポート”で著しい凹みを呈しており、その結果とリンクしてこの期間、退職者は続出していた。 にもかかわらず、②の正解は、手っ取り早く言えば「あなたは病みかけている。病院へ行きなさい。」または「ほかの活動を探して、気分転換をしなさい」のようなレポートである。
仮にこの上司が、誤解されているだけで本当はすごくデキる良い人なのだとしたら、仕組みに関係なく、ストレスが高そうな彼と、話せばわかったのかもしれない。
しかし、ストレスチェックをしているだけ、のこの会社では、仕組みの義務を果たすことで、話すという余白を切り捨てた。
このクライアントは、長年勤めたこの会社を、悪意を持って去った。自動的に打ち出されたこのレポートが、退職の一つの要因だ。
|守秘義務・機微な個人情報
機微な個人情報として、組織はストレスチェックを、実施はするが、個人の結果は存じません。という姿勢が常識になっている。法を順守する運用が必須であることは当然だ。
しかし、現場と仕組みを、これ好都合とばかりに切り離し、仕組みに巻き上げてしまって、本来、果たすべき話から、逃れてはいないだろうか。
本人は現場から、考察する。
本人は、その空気を読み、組織に知られないために、ひっそりと受診するか、そのまま隠すか、去るか、を選択する。
彼の場合は、去った。
叫べ! お互いのために。
彼の言葉。「望みは、労い(ねぎらい)、ただひとつ、それだけだった。」
会社にとっても彼にとっても有益な真実は、飲み込まれた言葉の中にこそ、あったと思う。彼がその会社のために叫ぶことは無駄だったかもしれないが、
ストレスチェックの季節にひと言、仕組みの説明とともに、心ある会話かメッセージを送る、そんな工夫を、突き詰めてみるだけでいい。お金も時間もかけて実施するストレスチェックが、逆効果となっている現場を知ってほしい。
叫べ! 別の組織は、学ぶかもしれない。似た気持ちの人が、救われるかもしれない。
密室のキャリアカウンセリングもよいけれど、今どき、クライアントは、発信されたい人もいる。
しくみとして、組織が自社事例を事細かには知ることができないのがストレスチェックだ。組織を衛る話ばかり、弁護士や社労士から学んでいては、従業員の心にはぐっと来ない。
キャリアコンサルタントとして、今の時代にはまだそぐわないかもしれないけれど、クライアントの承諾を得た事例はオープンにしようと思っている。
組織にも、個人にも、得るものがあると考えている。
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